7月号-甘えを受け入れる
私のこれまでの人生の大きなテーマは、「自立すること」だったように思います。
子どもの頃、私は早く大人になりたいと願っていました。 そして、人の役に立てることが誇らしく、自分の存在を喜ぶことができました。
確かに、自立することは素晴らしいことかもしれません。
自分でお金を稼いで、ショッピングを楽しんだり、旅行に出かけたり、結婚するかしないかを自分で決められる——そんな自由があります。
でも、たとえ自分の思いどおりに物事を進めることができたとしても、家族を持った今、それは本当に“家族やパートナーにとっても良いこと”なのでしょうか?
家族の誰か一人のやり方だけで、家族全員が満足しているとは限りません。
最近の社会は、「自主性を育てる」ことの大切さが認識されるようになってきました。
もちろん、自主性を育てることは「わがままを許すこと」とは違います。
けれど、もしかすると自主性の出発点には、「わがままを受け入れてもらう経験」が必要なのかもしれません。
甘えを受け入れる
子どもの成長の過程では、「甘え」が自然に出てきます。
もう自分でできるはずなのに「できない!」「ママやって!」と駄々をこねるような時期もあります。 今振り返ると、あのやりとりはとても大切な成長のプロセスだったのだと思います。
けれど正直、このやりとりって本当に面倒くさいんです!
だからつい、「じゃあ私がやってしまおう」と手を出してしまう。 でもそれは、子どもの意思を無視して“助ける”ことであり、同時に、子どもが自分の価値を感じるチャンスを奪ってしまうことでした。
一方で私は、「私ってすごい」と、自己価値が高まったことに満足していました。
でも、心はなんだかモヤモヤする。
子どもの元気がなくなってくる。
「あれ?」「あれ?」と違和感が募る。
子どもの様子が変わって、ようやく私は、自分の的外れな子育てに気がつきました。
「パートナーや子どもは、きっとこう思っているはず」と、自信を持って進めてきたつもりだったけれど、違っていたのです。
いろんなことを経験して、やっと気づきました。 「自分ができること」にこだわるよりも、「誰かができないこと」に寄り添うことが、何より大切だということに。
結局のところ、「やる」か「やらないか」が大切なのではなく、子どもの「甘え」をきちんと理解し、受け止めることが大事だったのだと思います。
自立するためには、「甘えること」が絶対に必要です。
「もう大丈夫」と心から思えるまで、たくさん甘えていいんです。